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2020年12月24日 (木)

冬読書「井上鑑さんの本」

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刊行された2011年か2012年に購入しているけれど、雑な読み方をしていた。飛ばし読みでそのままだった。本に申し訳ない。でも再読したら覚えている、ほとんど。そして、こんなに味わい深い本であることを、、もう一度読むべき本はこれだと感じた昨夜。

井上鑑さんにお誘いいただいた仕事や、金子飛鳥さんとの「鳥の歌」収録などは大きな一歩だった。大森昭男氏に繋がって弾き歌いアルバムへの助言もいただくことになったので、ありがたいチャンスをいただいていることになる。反原発運動のライブにもゲストで出演させていただいたことがある。井上鑑さんの素敵なアレンジ作品などに多く出逢って、ジェントルなお声で指示をいただいたスタジオの仕事など、その流麗さというか、そして堅実な音への姿勢に触れさせていただいているチャンスがあったけど、でも実際にはあまり会話を交わしたことはなく、仕事の現場でやることをやったら、はい、終了。

自分はどう評価されているのか、何も言葉がなく終わった仕事の時などはかなり落ち込んでしまったことも実際ある。でも、そういう時は逆に「自分は何者でもないのだから」と言い聞かせ、やる気スイッチを得て次へ向かうこともできた。

プロフェッショナル、そういう言葉は当然かもしれないけど、スパッと仕事が濁りなく終わる感じだ。あれはなんというかこちらが鋭い頭脳に切られて降参、というものかもしれない。

「僕の音、僕の庭」

どのページにも、極意というか、音楽人の精神、これは見習うべしと言わせるものばかり。例えば、自分の知っている演奏家、音楽業界の人の名前がでる。その人に対する視点、考察、そして距離感と俯瞰。そこにハッと気づかせてくれるものがある。

佐野元春への記述、筒美京平との仕事の交わし、カクラバロビの音楽、イギリスの音楽シーン、三善晃レッスン風景、学校の音楽教育に触れる人間への優しい眼差し、打ち合わせのヒント、何より音楽思考、創作への細部を明かしてくれる一冊。今の自分ゆえに、受け取れる文体、文面かもしれない。これから音楽家を目指す人には必須のような1冊だけど、私はこれは自分への1冊だと感じている。音楽書と分類するなら、とてもヒューマンなストーリー構成の読み物にも感じる。

これまで随分と様々な音楽の経験をさせていただいているが、こんな一冊に出会うと、自分はまだはなたれ小僧、あと少しでまあ一人前と言われる年代に突入かと、、焦るけど、でも今読んでよかったな、と思う。

お堅い本でもなく、何か構えて読むような専門書でもない。でも「おい、しっかり生きろよ」と言われている感じもする、ずっしりの1冊。

 

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